活動報告『カツオの叩き 農学部仕立て』
こんにちは。
今年度2回目の総会ではカツオを食べたので、その報告です。
※総会:
集まって寿司を食べること。
楽しい。
10月中旬に開催したので、いわゆる戻りガツオですね。
エサとなる小魚を追って南下してきたカツオのことで、秋の風物詩でもあります。5月ごろの初ガツオに比べて脂がのっているらしいです。たのしみですね。
旬のものなのでそのまま食べても当然おいしいと思うんですが、せっかくなので今回は叩くことにしました。カツオのたたき!経験はないので、とりあえず作り方をググりました。
これはネットに落ちてた叩きの様子なんですが、この時点で4つの壁があることが分かります。
① 火を焚ける場所
② 燃料となるワラ
③ 焚き火台
④ カツオを載せる道具
です.
まず①ですが、かなりでかい火を扱うため、室内でやるのはあまりに危険な気がします。
わが家の下宿のベランダは喫煙すら禁止されているので、たぶんカツオを叩くのもだめでしょう。他の住民に迷惑をかけるわけにはいきません。
そこで、鴨川に行くことにしました。
鴨川の河川敷は非常におおらかな場所で、盗みと殺し以外すべてやっていいらしいです。
事実、トランペット練習者、でかい旗を振っている何かのサークル、半裸で日焼けしているおじさんなど、各自が思い思いのふるまいをしていますね。
※念のため調べましたが、鴨川デルタ付近での焚き火行為は厳密に禁止されています。今回はその領域外で実行しました。
これで①は解決しました。
次は②の『燃料』です。
要するに強い火があればいいので、最悪ガスバーナーやコンロで炙ればいいんでしょうが、風情に欠けます。あと燻した香りや火力の面でワラがベストだと将太の寿司で読みました。
稲の収穫と同時期ですし、なんとかしてワラを入手できないでしょうか。
できました。
農学部・理学部のかたはよくご存知だと思いますが、京大の北部キャンパスには田んぼがあり、稲がもりもり育っています。調べたら農学部資源科の管轄らしく、問い合わせたところメチャクチャな量を分けていただきました。
サイズ比較できるものがないのでわかりにくいですが、10キロ以上はありました。
背負うと「おじいさんは山へ柴刈りに」みたいになります。
そしてメチャクチャにでかくボロボロこぼれ、自室に持って帰る段階で下宿のエントランスを、ベランダに運ぶ段階で自室一面をワラまみれにしました。
さっき「他の住民に迷惑をかけるわけには」ときれいごとを吐いたことですし、必死で掃除しました。たぶん誰にも見つからずに済んだので、完全犯罪です。平日の午前にやってよかったですね。解決。
どんどん行きましょう。
次は③の『焚き火台』です。
ワラはワラなのでとても軽く、風が吹けば飛んでいきます。
ワラに着火 → 風 → 対岸へ飛散 → 破滅
となるのは怖いので、何か台に入れて防止する必要があるなと思いました。
キャンプ用品コーナーで買えそうですが、お金はあまり無いので別の手段でなんとかしたいです。金属製で、ある程度の容積があればOKと考えると、何か見つかるんじゃないでしょうか。
そこで一斗缶に目をつけました。業務用油とかが入ってるやつです。
油をたくさん使う場所をあたればすぐ見つかるでしょう。
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そう考えて落ちてるのを半月くらい探しましたが、見つかりませんでした。
お店の人に聞けば出してもらえたかもしれませんが、それができるほど常連力のある飲食店が手近になく、挫折した格好です。
平日の日中は学生実験があるので、探索時間を増やすのも中々しんどいです。
そしたら実験室にありました。
さっき「油をたくさん使う場所」と書きましたが、農学部食品科実験室はまさにそれで、有機化学系のことをやるので有機溶媒をジャンジャン使います。学生実験室は毎日出入りしている馴染みの場所なので、頼んだらすぐ貰えました。灯台下暗しですね。
農学部に頼ればたいていのものが手に入る気がしてきました。
果物の香気成分である酢酸エチルが入ってたやつなので安全性もだいじょうぶでしょう。洗う前に嗅ぎましたが、すっかり揮発していて無臭でした。ちょっと残念です。
だいぶ片付いてきましたが、最後に④の『カツオを乗せる道具』が残っています。
トライデント、あるいは虫歯菌が持ってるやつみたいな形状で、しかも直火に入れても問題ないアイテムが必要です。
長い鉄串なんかでも代用できるみたいですが、やはり持っていないし火のすぐ近くに手を出すのはだいぶ怖いですね。
先端が金属製の、長い持ち手がついた物を改造したらなんとかなりそうですが、あるんでしょうか。
ありました。
バトルアックスです。大学の入学祝いにもらいました。
護身用らしいですが、人に使ったことはありません。
木製部分が直火に晒されないようにしつつ、ダイソーの焼き網をくくりつけることで完成しました。
カツオたたき(道具名)です。
全ての問題が片付いたので、意気揚々と鴨川に乗り出しました。
今まで準備した物品の一式にさらに消火用バケツ、冷却水入り鍋、カツオなどが増えてだいぶトンチキな感じになりましたが、鴨川はおおらかなので大丈夫です。
じゃあ叩こうか、となった直前で指摘が入り、気づきました。
焚き火台に給気口がなく、このままだとうまく燃えません。
河原の石の尖ったやつで開けるしかないか、と思っていたのですが
記事用 pic.twitter.com/wkRROcGCAc
— 京都大学おすしだいすきクラブ (@ku_odc) 2020年10月31日
バトルアックスの尖った側を使えばいいことがわかりました。
これ一本で穿孔から調理までぜんぶできます。いかがですか?
紆余曲折ありましたが、カツオが叩かれている様子です。
やっと魚の写真が出てきましたね。
サクにしたあと皮目に塩をしたものを炙っています。
味がつくほどの量ではないので、たぶん皮のタンパク質になんか作用して破れにくくするのでしょう。両面をあぶり、そのまま氷水に浸しました。
叩きの焼き加減にもいろいろあるらしく、加熱された層をブ厚めにする流派もあるんですが、今回は極力中に火が入らないよう努めました。
焼いて硬くなった身が寿司に向かないと言うのが一つ、ウェルダンかつおは生鮮館で安く買えるというのがもう一つです。生鮮館の叩きはコスパが異常に良く、おすすめです。
使い終わったカツオたたきは川で冷やしました。3部のアヌビス神みたいですね。
叩きらしく色々と薬味をのせて寿司にしました。
「っぽさ」を求めてポン酢ジュレを載せたんですが、だいぶ良かったです。おすすめ。
あと寿司下駄が導入されました。それっぽくていいですね。
写真1枚目の寿司下駄と2枚目の寿司下駄は数十倍の価格差があり、2枚目はダイソーで買ったやつです。見比べるとあきらかにチープだし、表面がガザガザしていて酢飯がくっつきだいぶ最悪でした。あんまりおすすめしないです。
肌寒くなってきたのであたたかみも欲しくなり,ヅケの竜田揚げを作りました。
あとはアラ出汁でラーメンを作ったり。どっちもおいしかったです。
ワラは英語でストローなのでいけるだろとコーラに挑みましたが、ぜんぜん飲めませんでした。調べたら語源になったのは麦わららしいです。それはそうか。
でかい火を見るのは良いことなので、来年もまたやりたいですね。初ガツオの走りを使えばギリギリ新歓期にできるかもしれません。
唯一の反省として開催日があります。
会員の予定を鑑みて日曜開催にしたんですが、市場が休みの日なので新鮮MAXのカツオが手に入りませんでした。鮮度保持のための工夫は思いつくかぎりやりましたが、やはり最高とは言えない状態でした。
次回があるなら土曜開催にしましょう。
今回・前回とかなり気合を入れて準備してしまったので「いつもこんなに凝るわけじゃないぞ」という周知もかねて、次回は普通にスーパーで買った魚を普通に寿司にする会をやろうと思います。
それではまた次回。